近年、ファッションからインテリアまで、世界的に注目されている「クワイエットラグジュアリー(Quiet Luxury)」。
クワイエットラグジュアリーとは、直訳すれば「静かな贅沢」。ここでいう「Quiet(静か)」とは、音の静けさではなく、ロゴや装飾によって価値を声高に主張しないこと。上質な素材や丁寧なものづくり、長く愛せる品質など、ひと目ではわからない本質的な価値を大切にする考え方です。
他人に価値を証明するのではなく、自分自身が質の良さを感じながら暮らす豊かさ。この記事では、そんな価値観を私たちなりに「感じる豊かさ」と捉え、インテリアと壁の色から考えてみたいと思います。
壁:No.301 Eddy
1. クワイエットラグジュアリーとは、「見せる豊かさ」から「感じる豊かさ」へ
2. ニュートラルカラーがつくる控えめな上質さ
3. クワイエットラグジュアリーを叶える壁色の考え方
4. Farrow&Ballの132色から、自分らしい色を見つける
5. ロゴのないラグジュアリーをプロと整える
6. よくあるご質問
7. Farrow&Ballの色を、銀座サロンで体感する
1. クワイエットラグジュアリーとは、「見せる豊かさ」から「感じる豊かさ」へ
クワイエットラグジュアリーという言葉は、もともとファッションの世界で広く知られるようになりました。大きなロゴや、ひと目でブランドが分かるデザインではなく、上質な素材や美しいシルエット、細部まで丁寧につくられたものを選ぶ。その価値を外側へ示すことよりも、手にした人自身が、素材の心地よさや仕立ての美しさを日々感じられることを大切にする。そんな価値観が、クワイエットラグジュアリーの背景にあります。
天井・壁:No.270 Calluna
ドア・巾木:No.2008 Dimity / 壁:No.231 Setting Plaster
インテリアにも、同じことが言えるのではないでしょうか。装飾をたくさん加えなくても、素材の美しさが感じられる家具がある。何年経っても飽きずに使えるものがある。そして、光や季節の変化を美しく受け止める空間がある。ものの「量」や分かりやすい豪華さではなく、質や時間、心地よさによって感じる豊かさ。まさにそこに、クワイエットラグジュアリーの本質が宿っています。
こうした価値観は、近年注目されている“ジャパンディ”にもどこか通じています。侘び寂びやヒュッゲのように、派手さではなく、今あるものの美しさや日々の心地よさを大切にする感覚。そうした「見せること」よりも「感じること」を大切にする価値観は、クワイエットラグジュアリーともどこか響き合います。
壁:No.CC8 Faded Terracotta / ニッチ壁:No.CC2 Light Sand
上壁:No.274 Ammonite / メイン壁:CC7 Stoke / 巾木:No.CC1 Tar
2. ニュートラルカラーがつくる控えめな上質さ
近年注目されているエクリュカラーをはじめ、オフホワイト、ベージュ、グレージュ、ソフトグレーといったニュートラルカラーも、クワイエットラグジュアリーなインテリアとよく調和します。※エクリュとは、もともと生成りのような、漂白していない天然素材を思わせる色で真っ白ではない、ほんのわずかに温度を感じる白のこと。
アクセント壁:No.17 Light Gray / 壁:No.1 Lime White
Farrow&Ballにも、一見すると似て見えながら、実際に壁に塗るとそれぞれに異なる表情を見せるニュートラルカラーが豊富に揃っています。グレーともベージュとも言い切れない、曖昧で繊細な色。こうした色は強く主張しないからこそ、わずかな色のニュアンスや濃淡が際立ち、空間に繊細な奥行きを生み出します。
たとえば、職人が使う養生布から着想したNo.283 Drop Cloth。そこにNo.282 Shadow Whiteを合わせれば、壁と木部の境界が穏やかにつながり、空間全体が柔らかく包まれます。また、No.274 AmmoniteとNo.276 Mole’s Breathのように、ニュートラルカラーの濃淡を重ねることで、たくさんの色を使わなくても豊かな表情をつくることができます。
ニュートラルカラーは、何も主張しないための色ではありません。わずかな色のニュアンスや、光によって生まれる陰影。その繊細な重なりが空間に奥行きを生み、声高に主張することなく、控えめな上質さとエレガンスを漂わせます。華やかさを加えるのではなく、繊細な色の違いによって空間そのものの質を高めていく。そんな色のあり方も、クワイエットラグジュアリーなインテリアにつながっているのではないでしょうか。
壁:No.282 Shadow White / 木部:No.282 Drop Cloth
壁:No.274 Ammonite / 腰壁:No.276 Mole’s Breath
3. クワイエットラグジュアリーを叶える壁色の考え方
クワイエットラグジュアリーな空間を考えるとき、壁はとても重要な役割を担います。インテリアの中で大きな面積を占めながら、家具やアートのようにそれ自体が主役になるとは限らない壁。けれど、壁色は家具やアートの見え方にも影響し、空間全体の印象を左右する大切な存在です。
朝、昼、夕方と変化する光によって、同じ壁色にもさまざまな表情が生まれます。だからこそ壁色を考えるときに大切なのは、単に主張しない、目立たない色を選ぶことではなく、家具や素材、光との関係を丁寧に整え、それぞれの魅力が自然に引き立つ色を選ぶことだと考えます。色そのものが強く主張しなくても、繊細なニュアンスや陰影が空間に奥行きを与え、そこに置かれたものまで美しく見せてくれます。
華やかな装飾を加えるのではなく、背景となる壁の色まで丁寧に選ぶ。そんな細部へのこだわりにも、クワイエットラグジュアリーらしい控えめなエレガンスが表れるのではないでしょうか。ここからは、Farrow&Ballの色が光や素材とどのように調和し、空間の上質さを引き立てているのか、実際の施工事例から見ていきましょう。
壁:No.283 Drop Cloth / 木部:No.282 Shadow White
事例①柔らかな陰影に包まれる、時を重ねた家のような安心感
職人が使う養生布に着想を得た、気取らず上質な温かみをもつグレーベージュのNo.283 Drop Cloth。その柔らかなトーンに寄り添うように、窓枠や巾木などの木部には、ほのかにグレーを含んだ気品ある白 No.282 Shadow White を合わせています。 壁と木部を真っ白なラインで区切るのではなく、同系色の繊細な濃淡でつなぐことで、空間の角が静かに溶け、どこまでも優しく包み込まれるような一体感が生まれます。 色の主張を抑えたこの穏やかなグラデーションは、時を重ねた自然素材の家具やラグ、照明の佇まいをより美しく引き立て、空間に控えめでありながら確かな品格をもたらします。 ただそこにいるだけで心がほどけていくような、余白の中に静かな豊かさが満ちる——そんなクワイエットラグジュアリーの思想を体現した、極上のパーソナルスペースが完成します。
天井・壁・木部:No.40 Mouse’s Back
事例②天井・壁・木部を一色で包み込む、繭(コクーン)のような温もりのあるバスルーム
野生のネズミの毛並みにインスパイアされた、驚くほどあたたかく深みのあるアースカラーのNo.40 Mouse’s Back。天井、壁、そして巾木や扉に至るまで、すべてをこの一色で贅沢に包み込むカラー・ドレンチングのコーディネート。境界線を美しく消し去ることで、空間全体にまるで静かな「繭(コクーン)」の中に守られているかのような、絶対的な安心感とヒュッゲな温もりが生まれます。色によるノイズがないからこそ、窓から差し込む自然光の揺らぎや美しい陰影が引き立ち、外の喧騒を忘れて心からリラックスし、自分と向き合い、大切な「時間を慈しむ」ための究極の空間が完成します。
壁:No.2005 All White
事例③光に満ちた白と素朴な自然が調和する、飾り気のない美しさを愛でる空間
無垢の造作家具の背景に広がるのは、一切の雑味を含まない純白、No.2005 All White の壁。Farrow&Ball の白は、純度の高い無垢な白でありながら、上質な顔料が重なり合うことで、どこか柔らかく、絹のような温もりを帯びています。 その静かな白の余白に、季節の植物をそっと添えるだけで、空間には控えめでありながら確かな品格が宿ります。飾り立てるのではなく、余白の美しさを受け止めることで生まれる上質さは、クワイエットラグジュアリーの精神にも通ずるものがあります。 光の移ろいとともに表情を変える白い壁は、時間の流れを穏やかに感じさせ、日常の中に静かな豊かさをもたらします。過度な演出を求めず、ただ心地よい光に満ちたひとときを大切にしたい人のための、優しく洗練された空間です。
上壁:No.2001 Strong White/メイン壁:No.286 Peignoir / 建具:No.CC1 Tar / 床:No.2001 Strong White
事例④色と陰影が織りなす、ピンクの洗練されたモダン空間
グレーを含んだ大人のピンクNo.286 Peignoirに、凛としたNo.2001 Strong White、そして建具には柔らかなオフブラックNo.CC1 Tarを重ねる。ピンクが持つ甘さを抑え、ニュアンスのある3色を重ねることで、色を楽しみながらも控えめで、洗練された空間に仕上がります。 そこに、和紙を丁寧に折り重ねたような佇まいのスタンドライトをひとつ。どこか日本的な繊細さを感じさせる照明が柔らかな光と陰影を生み、洋の空間にさりげないアクセントを添えています。 一見すると個性が強く思えるピンクや黒も、トーンを抑えたニュアンスカラーを選び、計算された配色でまとめれば、控えめな色の階調と柔らかな光が重なり合い、ただそこにいるだけで感覚が静かに整っていく——そんな豊かで上質なモダン空間をつくることができます。
4. Farrow&Ballの132色から、自分らしい色を見つける
Farrow&Ball は 1946 年、イギリス・ドーセットで誕生しました。創業以来、昔ながらの製法を守りながら、顔料の深みや仕上がりの美しさを追求してきました。伝統的な技術を受け継ぎつつ、時代に合わせて色の見直しや更新を行い、Farrow&Ballの132色のカラーパレットは静かに進化してきました。また、環境に配慮した水性塗料や持続可能な製造プロセスを採用することで、上質さとサステナビリティを両立させてきたブランドでもあります。
イギリス・ドーセットの工場風景
Farrow&Ball には、132色のカラーパレットがあります。特にニュートラルカラーには、一見似ているようでいて、グレーのニュアンスを含むもの、黄みや赤みを帯びるものなど、それぞれに繊細な個性がありその違いは、写真や画面だけではなかなか伝わらないものです。
ご自宅でゆっくりとインテリアを思い描きながら色を選びたい方には、無料のカラーチャートをご用意しています。小さな色見本ではありますが、自然光の入り方、床材の色、家具の素材など、ご自宅ならではの環境の中で色を比べられるため、“その空間だからこそ美しく見える色”を探す大切な手がかりになります。
色を選ぶという行為は、ただ好みの色を選ぶだけではなく、暮らしの時間をどのように過ごしたいかを考えることでもあります。 132色の中から、ご自身の暮らしに心地よく寄り添う色を見つけるための第一歩として、ぜひカラーチャートをご活用ください。
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5. ロゴのないラグジュアリーをプロと整える
ここで、ペイントという素材について少し考えてみます。
家具やバッグ、ファッションには、ブランドを示す名前やロゴがあります。けれどペイントは、壁に塗ってしまえば、どこのブランドなのか外から見ただけでは分かりません。壁のどこにも“Farrow&Ball”という文字は残らず、そこに残るのは、色と質感だけです。それでも、Farrow&Ballで塗られた空間に立つと、光を受けた壁の奥行きやマットな質感、時間によって移ろう色の表情から、ふと「何かが違う」と感じていただけることがあります。目立つロゴがなくても、色と質感そのものから上質さを感じる。そこにも、クワイエットラグジュアリーとFarrow&Ballが大切にしてきた価値の重なりがあります。
カラーコンサルタンシーサービスの様子
一方で、こうした繊細な色の違いを見極め、空間全体を美しく整えることは簡単ではありません。同じ色でも、光の向きや時間帯、床や家具の素材、隣り合う色によって、その表情は変化します。だからこそFarrow&Ballでは、色を選ぶ時間そのものを大切にするカラーコンサルタンシーサービス をご用意しています。
人気色やトレンドだけにとらわれるのではなく、住まいの光や素材、家具、アート、そしてそこで過ごす方のライフスタイルまで丁寧に伺いながら、その空間にふさわしい色を一緒に考えていきます。微妙に異なるニュートラルカラーから一色を選んだり、壁だけでなく天井や建具まで含めて色のつながりを整えたり。誰かに価値を示すためではなく、そこで暮らす自分自身が、毎日その良さを感じられる色を選ぶ。それもまた、「見せる豊かさ」ではなく「感じる豊かさ」を大切にする、クワイエットラグジュアリーな色選びではないでしょうか。
6. よくあるご質問
FAQ
Q1
ニュートラルカラーの微妙な色の違いは、どうやって選べばよいですか?
A ニュートラルカラーは、わずかな色みの違いで空間の印象が大きく変わります。同じように見える白やベージュ、グレーでも、含まれる色のニュアンスによって、床や家具との相性はもちろん、自然光や照明の下での見え方も異なります。そのため、写真や小さな色見本だけで判断するのが難しい色でもあります。
「繊細な色の違いまでこだわりたい」「壁だけでなく、天井や建具、家具や床材とのバランスまで考えたい」という方には、Farrow&Ballのカラーコンサルタンシーサービス がおすすめです。
お部屋の光の入り方や素材、家具、アート、そしてそこでどのように過ごしたいかまで伺いながら、空間全体のカラースキームをご提案します。クワイエットラグジュアリーのように、わずかな色や質感の違いが空間の品格につながるインテリアだからこそ、ぜひ色選びのプロセスそのものからお楽しみください。
Q2
どんな色が自分の家に合うのか分からない場合も、カラーコンサルタンシーサービスを利用できますか?
A もちろんです。むしろ「使いたい色が決まっていない」「好きなインテリアのイメージはあるけれど、具体的な色に落とし込めない」という段階からご相談いただけます。
カラーコンサルタンシーサービス では、単に人気色をご紹介するのではなく、お客様のお好みや暮らし方、住まいの光、床や家具などの素材を確認しながら、その方、その住まいだからこそ心地よく感じられる色を一緒に探していきます。新築やリノベーションで複数のお部屋の色を検討されている方はもちろん、一部屋からのご相談にも対応しています。
Q3
Farrow&Ballのペイント工事まで相談できますか?
A はい、ご相談いただけます。色選びだけでなく、実際のペイント施工についてもご相談を承っています。ご計画の内容や施工場所などによってご案内が異なりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
「色は決まったけれど、どこに施工をお願いすればよいか分からない」という方も、色選びから施工まで含めてご相談ください。
Q4
Farrow&BallのペイントはDIYでも塗れますか?
A はい。Farrow&Ballのペイントは扱いやすく、一般のお客様にもご自宅でDIYペイントをお楽しみいただいています。壁一面から、一部屋の模様替え、家具や木部のペイントまで、自分の手で色を加えることで、住まいへの愛着もより深まります。
銀座サロンでは、Farrow&Ballならではの色やペイントの質感を実際にご体感いただけるほか、色選びやペイントについてスタッフがご案内しています。初めてDIYペイントに挑戦される方も、ぜひご来店予約のうえ、お気軽にご相談ください。
Q5
まずは色だけ見てみたいのですが、どうすればよいですか?
A Farrow&Ball銀座サロンでは、132色のカラーパレットを実際にご覧いただけます。特にエクリュやオフホワイト、グレージュなどのニュートラルカラーは、画面上では似て見えても、実物ではそれぞれに異なるニュアンスがあります。まずはサロンで色と質感をご体感いただくのがおすすめです。
ご自宅で光や床材、家具との相性を確認したい方には、カラーチャートもご用意しています。さらに、「見るだけでは決めきれない」「似た色の中から自宅に最適な一色を選びたい」方は、カラーコンサルタンシーサービス をご利用ください。
7. Farrow&Ballの色を、銀座サロンで体感する
クワイエットラグジュアリーについて考えていくと、最後には「豊かさとは何だろう」という、とてもシンプルな問いにたどり着きます。誰かに見せるための豪華さではなく、自分自身が毎日の暮らしの中で感じる充足感。朝、壁に映った光がきれいだったこと。お気に入りの椅子で過ごす時間が心地よかったこと。家族と何気なく囲んだ食卓。そして、何年経っても「この色を選んでよかった」と思える壁。本当の豊かさとは、目立つものではなく、そんな日々の中に少しずつ積み重なっていくものだと思います。
住まいとは、美しく完成された展示品ではありません。人が暮らせば、小さな傷がつき、素材の色も少しずつ変わっていくもの。その変化は単なる「古くなる」ことではなく、そこで過ごした時間が静かに刻まれていくということです。人とともに歳を重ね、人生をともに歩みながら、少しずつ美しく育っていく場所。そんなふうに住まいが変化していく過程そのものが、愛おしさを宿すのだと思います。
新しいタブでプレビュー
Farrow&Ballは、色と光、そしてペイントならではの質感を通して、暮らしに長く寄り添う存在でありたいと考えています。
銀座サロンでは、132色を実際の光の中でご覧いただけるほか、スタッフが色選びを丁寧にご案内します。ご自宅の光や素材、家具との相性まで含めて色を選びたい方には、カラーコンサルタンシーサービス もご用意しています。
誰かのためではなく、自分が心地よく暮らせる色を見つけるために。
ぜひFarrow&Ball銀座サロンへお越しください。
Farrow&Ball銀座サロン
英国の上質な132色が選べるFarrow&Ball銀座サロンでは、プロのカラースタイリストがカラーとペイントのご相談を承ります。
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