2026.06.03
2026年春夏コレクションから見るトレンドカラー第3回<カラーミックス編>
「大胆なカラーミックスで、喜びと活力を」
2026年春夏のトレンドカラーについて、前回はさまざまな色における「強さと優しさ」の競演について見てきましたが、今回は、その色たちの組み合わせから生まれる楽しさに注目してみたいと思います。
まず、この夏の特徴として第一に挙げたいのが、3色以上の多色使いのカラーミックスです。しかも、同系色でまとめるのではなく、色相の違う色をあえてにぎやかに組み合わせるパターンが新鮮に登場しています。
なかでもわかりやすく象徴的だったのが、多色使いのストライプ。

ロエベでは、新クリエイティブディレクターとなった2人(ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデス)がNY発のブランド(プロエンザ スクーラー)出身だったこともあり、スポーティに表現されたヴィヴィッドカラーのマルチストライプが、彼らのデビューコレクションに強い印象を与えていました。この、太さと色の異なる複数のストライプを組み合わせたデザインは、「クレージーストライプ」と呼ばれるパターンで、1970年代にアメリカの「ブルックス ブラザーズ」が考案した「ファンシャツ」がルーツとされています。遊び心あふれる快活な印象が特徴で、ロエベの最新ルックは、アメリカントラッドのイメージを現代的なモードとして甦らせたといえるでしょう。まさに、夏の日差しに負けないアクティブさが魅力です。
プレッピーなアメリカンテイストをパリ的シックと融合させたセリーヌでは、ベーシックなアイテムをカラーミックスで遊んでいます。

グリーンのブレザーに赤いニット、ブルーシャツ。さらに注目は小物使いで、黄色のブーツと白のバッグによって、コーディネートを「まとめ過ぎずにリズムを出す」という洗練されたテクニックを披露。それぞれのデザインがトラッドならば、全色違っても冒険できる、という日常にでも挑戦できそうな可能性を見せてくれました。
同じく色を大胆に使ったプレッピースタイルを披露したのがミュウミュウです。

真っ赤なポロシャツとブルーのスカートという原色の組み合わせに、鮮やかなオレンジのバッグが軽快さを添えています。首元のカラフルなスカーフ使いも、今シーズンお手本にしたいスタイルです。
ミラノ・コレクションで、カラーミキシングの新鮮さを披露してくれたのはプラダとフェンディでした。
プラダは、「分散」や「組み合わせ」をテーマに、自由な選択や柔軟性、意外性をアイテムや色の配置で表現しました。ドレッシーなルックにもグリーン、ピンク、オレンジといった色を配し、黄色のロンググローブで仕上げるカラーコンビネーションによって自由なエレガンスを提案。

フェンディでは、光沢のあるフューシャピンクとグリーンの補色(色相関で反対に位置する関係)同士のコーディネートを、あえてマチュアなモデルを使い、シンプルで上品な着こなしに仕上げています。袖口のオレンジや、バッグの裏地のベビーピンクなど、スウィートな色のポイント使いもリズムを加え、洗練されたアクセントに。

そして、最後にご紹介したいのが、フラワープリントです。
今シーズン、ぜひ楽しみたいトレンドのひとつなのですが、色の観点からすると、花柄はそれだけで完成したカラーミックスの宝庫といえるでしょう。クロエは、70年代のアーカイブプリントを復活させ、華やかなサマールックを披露しました。

色とりどりの鮮やかな花たちは、まとうだけで気持ちを高揚させる幸福感に満ちています。この夏は、ぜひ大柄なフラワープリントを選んで、心と身体に色と自然の喜びを満たしてあげてください。
3回にわたって、2026年春夏シーズンのカラートレンドを追ってきましたが、純粋な白と色にあふれた今季のトレンドには、デザイナーたちの希望の気持ちが込められていたのかもしれません。世情の混沌と不透明さのなかにあっても、色は、私たちの感覚を直接的に元気づけてくれる身近な味方です。遠慮などぜずに、大胆に色を楽しむことが、明日へのエネルギーを生んでくれるのではないでしょうか。夏だからこそできる自由さを、どうぞ逃さないで。
★インテリアのヒント
多色使いをインテリアに応用するのは難しい、と感じる方が多いのは当然でしょう。
しかし、ある程度のルールを知ることで、思いがけない楽しさを空間に取り込むことは可能だと思います。
今回は、その難易度に沿って、色を使ったインテリアの例を見てゆきましょう。
まずは、家具やインテリア小物を利用する方法から。
白い壁の部屋でも、ファブリックで色を加えるだけでまったく印象の違う空間に。壁の絵やランプシェイドの色も交換することで、たちまちプレイフルな気分に早変わり。
ブルーの壁には、あえて黄色やグリーンのグラフィカルな家具を合わせると、空間全体でモダンアートを彷彿させるムードが生まれます。


2色使いの塗装は、赤とピンクのように同系色の方がまとまりやすいので、ラグや椅子などで遊びの範囲を自由に試してみるのがおすすめです。
黄色とブルーといった色相の違う組み合わせの場合は、それらの色を含んだインテリア小物を選ぶと全体の調和が取りやすくなります。


最も難易度の高い3色以上の組み合わせの場合は、フレーミングのように白を取り入れると抜け感が生まれるので、強い色でも圧迫感が和らぎます。
もっと冒険をしてみたい、という方には、多色使いを天井のモールディング部分や、隣の部屋など隣接する空間に配することで、遊び心にあふれた奥行きが生まれるでしょう。


思い切って楽しさ第一の空間を作るなら、ストライプ使いに挑戦してみてはいかがでしょうか。壁紙を利用すれば、比較的簡単に試してみることもできます。ラグやベッドリネンなどでカラーコーディネイトをプラスするのもおすすめです。


インテリアのカラーミックスも、ファッションと同じように、季節とともに「着替える」感覚で楽しんでみたいものですね。バッグや靴で色を取り入れるように、まずは小さなコーナーや空間からでも「着替え」てみると、気分は大きく変化するのではないでしょうか。
色の組み合わせを楽しみたい方へ
カラーワークショップ開催中
お気に入りの2色を使い、オリジナルカラースキームづくりのワークショップを行っております。 好きな色、気持ちいいと感じる色、アクセントになる色、飾りたい色、など、感じるままにカラースキームを作ってみませんか?
セミナー詳細 >
渡辺三津子氏 プロフィール
資生堂の企業文化誌『花椿』から編集のキャリアをスタートし、複数のインターナショナル・ファッション誌を経て、2000年『ヴォーグ ジャパン』編集部へ。2008年に編集長に就任。2022年に独立し、ファッションジャーナリスト、コンサルタント、エディターとして活動中。
関連記事
・クールでモダンなインテリアに「アーキテクチュラルニュートラル」