2025.10.24

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「色は、時を超えて。」— Farrow&Ball アーカイブカラーに宿るタイムレスな美

Farrow&Ballではこの秋、2025年の新色コレクションが登場します。

それに伴い、これまで私たちの暮らしを彩ってきた12色が、アーカイブへと移行します。

Farrow&Ballのカラーパレットは、長年「132色」という限られた数の中で、時代を超えて愛され続けてきました。新しい色が加わるたびに、いくつかの色がそっとその役目を終え、次の時代へと美を引き継いでいきます。

アーカイブカラーという存在

アーカイブになると聞くと、少し寂しく感じるかもしれませんが、アーカイブカラーは「消える色」ではありません。それは「時間を超える色」、Farrow&Ballの歴史の中で大切に守られていく美しい記録です。

流行を超越した色を求める方、あるいは過去に愛した色との再会を望む方へ。

「アーカイブ」となったこれらの色は、これからも変わらず皆様のインテリアに寄り添い続けます。

なお、アーカイブカラーは現在もご注文いただけます。ご依頼からおおよそ1週間ほどでお届け可能ですので、過去の名色もこれまで通りお楽しみいただけます。

Farrow&Ballが紡いできた12の名色たち

そこで今回は、アーカイブへ移行する12色にスポットを当て、それぞれの魅力を改めてご紹介します。どの色も、Farrow&Ballが長年愛されてきた理由を物語るような“深み”があります。

アーカイブカラーには、Farrow&Ballが大切にしてきた”ものづくりの想い”が息づいています。流行にとらわれない、空間に静かに寄り添う“美しい時間”の象徴です。

今回は、その12色をひとつずつご紹介します。

① No.15 Bone

壁: No.15 Bone

この穏やかなトープグレーは、クラシックとモダンの間に立ち、どんな空間にも自然に溶け込む上品さをもつ色です。ザ・コンランショップ 新宿店でも取り入れられており、その落ち着いた存在感が多くのデザイナーに愛されています。

② No.6 London Stone

腰壁: No.6 London Stone / 上壁: No. CC2 Light Sand

No.6 London Stone は、Farrow&Ball が創業して間もない頃に誕生した最初期のカラーのひとつ。

ロンドンの石造建築からインスピレーションを得たこの色は、グレージュの中にほんのりと温もりを感じる静かな存在感を放ちます。時を経ても愛される理由は、その「控えめな美しさ」にあります。

③ No.265 Manor House Gray

壁: No.282 Shadow White / ドア・ドア枠・巾木: No.265 Manor House Gray

英国の伝統的な邸宅 ”Manor House” に由来するこのグレーは、建築的な美しさと落ち着きを兼ね備えた、品格あるニュートラルカラーです。

光の中で穏やかに表情を変え、空間に静かな深みを与えます。日本でも特に人気が高く、洗練されたモダンインテリアのベースカラーとして多く選ばれてきました。

④ No.254 Pelt

バスタブ: No.254 Pelt / 壁: No.2002 White Tie

深い青紫が織りなす、上品でドラマティックなトーン。その名の「Pelt(ペルト)」は、革や毛皮を意味し、自然素材のような温もりと重厚感を感じさせます。

光の当たり方で印象が変わり、明るい場所では艶やかに、影の中ではほとんど黒にも見える奥行きのある色。クラシックにもモダンにも映える、静かな存在感を放つパープルです。

⑤ No.244 London Clay

奥アクセント壁: No.244 London Clay / 壁: No.2005 All White

ロンドンの街並みにみられる建築遺産の優雅さを映し出すような、赤土のような温かい深みとグレーを含んだ上品さが魅力のブラウンです。

空間に落ち着きと包容力を与え、クラシックにもモダンにも調和するタイムレスな色は、インテリアに取り入れると空間に包容力と安定感をもたらし、ニュートラルカラーの中でも特に「居心地の良い温もり」を表現できる一色です。

⑥ No.245 Middleton Pink

壁: No.245 Middleton Pink

この淡く優しいピンクは、色彩の目を持つ人々から信頼を受けたカラー・コンサルタント、Catherine Middleton にちなんで名づけられました。 

軽やかで複雑さのないトーンは、背景にどんな素材や光があっても“清らかな余白”を感じさせます。 壁・天井に用いれば、空間にそっと寄り添いながらも穏やかな存在感を放つ色です。

⑦ No.217 Rectory Red

壁: No.217 Rectory Red

この清らかで豊かな赤は、長年にわたり牧師の住まいとして使われてきた村の住宅(レクトリー)に由来しています。 Farrow&BallのNo.212 Blazerという鮮やかな赤を基に、時を経た深みと落ち着きを加えたこの色は、より洗練された印象を伴います。 

小さな空間に用いれば、温かみとともに迎え入れるような佇まいが生まれ、壁面を彩るだけで“おもてなし”の気配を宿します。

⑧ No.210 Blue Ground

壁収納: No.210 Blue Ground

このミッドトーンの青は、もともとブランドのダマスク柄壁紙の“グラウンドカラー”(下地色)として使われていた由緒ある歴史を持ちます。

明るくて前向きな印象を与えながらも「冷たさ」を感じさせない絶妙なバランスが特徴。子ども部屋やアクセント壁にもよく用いられ、軽やかな幸福感を空間に添える一色です。

⑨ No.206 Green Ground

建具: No.206 Green Ground

No.32 Cooking Apple Greenをやわらげた淡く穏やかなグリーン。まるでやわらかな春の草原のような光を受けて葉のように柔らかく映えるトーンです。

自然の息づかいを感じさせる暮らしに溶け込む優しい色は、空間に心地よい余白と明るさを添えてくれます。

⑩ No.74 Citron

壁: No.74 Citron / 腰壁アクセントライン: No.214 Arsenic / 腰壁: No.2005 All White / 階段: No. 239 Wimborne White

この色は、地中海の穏やかな日差しを映すかのような温かみのあるレモンイエローです。小さな空間でもその明るさが際立ち、ホールや玄関など「迎える場」にぴったり。

照明や自然光が豊かな部屋では、やわらかく温もりを放ちながらも、静かな存在感を漂わせます。

まさに「色の歓待(Welcoming)」を象徴する一色です。

⑪ No.296 Rangwali

床: No.296 Rangwali / 壁: No.286 Peignoir / 建具: No.2006 Great White

この冒険的なピンクは、インドの伝統的な色の祭りHoli(ホーリー)で歓喜の粉が空へ投げられる様子から名づけられました。

明るくて華やかでありながら、少量の黒の顔料を加えて”深み”を持たせており、ただのショッキングピンクには収まらない成熟したトーンを備えています。

空間に生命力と遊び心を添える、見るたびに心が弾むような幸福感あふれるカラーです。

⑫ No.75 Ball Green

ベンチ両サイド: No.75 Ball Green / ベンチ真ん中: No.85 Oval Room Blue

ブランドの共同創業者、リチャード・ボールにちなんで名づけられた、歴史を宿す色。

やわらかなグリーンの中に灰みを帯び、どこかクラシックな静けさを感じさせます。

キャンドルの灯りではほのかに銀色を帯びるというFarrow&Ballならではの複雑な表情を持ち、空間に品格ある落ち着きとと温もりを添える上品なトーンです。

これからも、暮らしとともに – 時を超えて寄り添う色たち –

たとえカラーチャートから姿を消しても、美しい色は決して色褪せません。それぞれの色があなたの人生のどこかで再び必要とされるとき、きっとまた心に響くはずです。

色は、時とともに変化しながらも、私たちの暮らしや記憶の中で静かに生き続けています。アーカイブカラーを選ぶことは、Farrow&Ballの歩みと自分自身の物語を重ねること。

新しい色を楽しみながら過去の色にも思いを馳せて ー”Timeless Beauty(時を超える美)”をあなたの空間で感じてください。

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